役割を持たせる弊害
「有利不利がはっきりしているポケモン」という言葉があります。
ハッサムに対するヒードラン、ボルトロスに対するマンムーなど、有利な相手には何度も後出しできるということなのでこういうポケモンはサイクル戦において重宝されます。
こいつらを使えば、机上論では思考停止で相手に有利なポケモンを繰り出していくだけで完封勝ちすることができるように思えますが・・・もちろん弱点はあります。
ヒードランは不利な相手であるガブリアスにほとんどの場合何もできず、マンムーはガルーラにほとんどの場合何もできません。
不利な対面になった場合は、目の前の相手のポケモンに有利であるクレセリアを交換で繰り出していくわけですが、ここで相手は素直に地震や捨て身タックルを打ってくるとは限りません。
毒毒、剣舞、グロウパンチなど目の前のポケモンなどまるでいないかのような行動をとってくることがほとんどでしょう。これに対して「悠長かよ~」と文句を言うことはできません。
あまりに不利な対面を作るとこちら側は突っ張る理由が無いので交換せざるを得なくなるのですが、それを相手が知っていると裏を見据えて悠長な行動をしてもそれがほぼ通るからです。
切っていく思考のポケモンを固めていると交換をすることがないので不要な悩みですが、サイクルを回すパーティはいわば「残数を減らさない縛り」なので、ワンキルされる相手にまさか突っ張ってこないだろうという考えで動かれても仕方がないのです。
困ったことに、そういう考えのもと裏に向かって攻撃してくる人もいれば、素直に対面技を打ってサイクルを回してくれる人もいるので、受ける側は正解である行動が一貫しません。ネット対戦では相手の顔が見えないので、どこで交換を合わせてくるかを判断する材料はありません。
サイクルを回しやすいポケモンで固めて、単に対面行動をしているだけでは裏を見据えた行動に簡単に崩されるでしょう。ポケモンは基本的に守りに回るより攻撃する側の方が強いゲームなのです。
初手ボーマンダvsボルトロス対面になって、思考停止でマンムーを繰り出していくと結構な頻度で気合い玉が飛んできます。これに対応するには、一度どんな攻撃でも耐えるクレッフィを一度交換で出し、それからクレッフィに飛んでくる電気技をマンムーで受けます。
このように一回の交換読みでサイクルが崩壊することがないような立ち回りをするのがベストですが、正直全部の対戦で相手の交換読みまで考慮する余裕はありません。
よって、サイクル戦好きの私といえど、有利不利がはっきりしすぎていて相手の行動が予測できないヒードランのようなポケモンは扱うのが難しいように感じます。
ヒードランにマグマストームが採用されていることが多いのは単純な技の性能の他に、相手の交換読み交換の選択肢を減らし、立ち回りを楽にするという目に見えない点でも一役買っているわけですね。
これに対してガルーラは、見ただけではどのポケモンに有利でどのポケモンに不利な型か分からないので、悠長な行動を取られ辛くなっています。更にノーマルタイプなので、誰に繰り出すことができるかなどもはっきりしていません。有利不利がはっきりしていない(役割をもっていない)ポケモンの代表と言えるでしょう。